蓮くんほど柔らかさはないけど、ふとしたところに見える蓮くんの姿に何だかモヤモヤするのは何でなんだろう。
｢本気で高野のこと好きなわけ？｣
｢好きだけど、加地くんは？｣
笑顔でサラッと言ってのけた山田は、そのまま俺にそう聞いてきて。笑顔からして悪意がないことは分かるけど。
何言ってんのこいつ。
｢加地くんも高野のことが好きだって言うなら、俺もっと頑張んなきゃだしね｣
こんな話を何の躊躇いもなくする辺りが俺とはやっぱり違うとこ。
｢高野、加地くんのことが好きみたいだし｣
｢は？｣
｢あれ、聞いてない？｣
｢…いや、聞いてるけど｣
そういえば高野、山田に俺のことが好きだって言ったって。あの日そんな話したわ。
ただ、俺がそれを知ってたとして、関係がすぐにでも変わるような間柄じゃないってことは山田も何となく分かってるんだろう。
｢俺加地くんも高野のこと好きなんだと思ってた。加地くん高野以外の女子社員とあんまり喋らないし｣
｢…それ聞いて、俺がもし好きだって言ったら？両思いじゃん、あと付き合えばいいだけじゃん｣
