｢今さらだねー…｣
なんて言いながらも手探りでポケットに入れていた携帯を取り出した。そのままそれを俺に手渡して、自分の電話番号を言い始める高野。
…やれってことか。
｢お前ほんとに俺のこと好きなわけ？｣
疑うわマジで。
そんな言葉にも笑ってるし、俺こういう女初めてなんだけど。こんなに好かれてる気がしないの初めてだわ。
｢好きですよー…｣
電話番号を登録し終わって携帯を返すと、高野はそれをベッドの上に放り投げた。雑。マジ雑。
｢ずっと、好きだった……｣
｢え？｣
そんな前から好きだったわけ？
なんて聞く暇もなく高野はまた寝てしまった。
好かれてる立場の俺がどうしてこうも振り回されなきゃならないんだろう。普通逆だろ。
｢また明日｣
幸せそうな顔をして眠ってる高野にそう言うと、さらに幸せそうに見えたから俺も結構自意識過剰なのかもしれない。
山田といるときよりも楽しいと思ってくれたならそれは結構嬉しいことだと思う辺り、意外と関係が変わることがあるのかもしれない。
…それはまだ言ってやらないけど。
