「定時までに終わらせてね」

「お前もな」

「余裕だわこんなもん」

可愛さの欠片もないわまじで。


この前白城と女が好みそうな店に仕方なく昼食を食べに行った時、こいつはどこに行くのかとしつこく聞いてきた上に、ジュースを片手に居座りやがった。

咲良のことも白城はベラベラ喋ってたし、何ならウエディングドレス着た写真まで見せてたし。

「ねぇ、加地くん」

「あ?」

俺が咲良に対して思ってたことも、さっぱり綺麗に知ってしまった高野は、安心したなんて言ってたし。


「咲良の結婚式っていつなの?」

「は、咲良ってお前…」

「あはは、名前知らないし」

その上、気長に行きますなんて言葉を白城に残していった高野は、あれが告白のようなものだと気づいてそうしたんだろう。

いつから俺のことを好きだったのかは知らないが、あんなことがあっても変わってない感じがやっぱり女子力の欠けている部分だと思う。


「つーか、お前知ってどうすんの?」

「いや、加地くんがいつ本格的に振られるのか知っておきたいじゃん、親友としてはさ!…いたっ!」

「お前マジで…」

サラッと言った高野の肩をグーで殴ってやった。