…中身は干物女でやばいけど、人としては普通にいいやつで同僚にも後輩にも好かれてるみたいだし。

まあその中身が干物ってとこがこいつの一番の印象で残念この上ない。

容姿を殺してんだ、完全に。


高野郁(タカノイク)。同い年。同期。

連絡先さえ知らないけど、よく高野の家に飲みに行くくらいには親しい。

「あ、そうだ!」

「ちょ、うっせぇな!声でかいよお前」

隣の席で、それもこっちを向いて大きな声を出すもんだから、驚いて字打ち間違えたし。

まじうるせぇこいつ。黙れ。


「はー?この前加地くんが見たいって言ってたDVD友達が持ってたから借りてきてあげたんだけど」

「まじで、今日行くわ」

「先にありがとうございますだろ?」

「はいはい、サンキュ」


飲みに行くといえば大体高野の家だし、わざわざそれを確認するような会話もない。

最初家に行ったとき、性格は知っていたものの一応女だし、なんて思っていた考えをまあ見事にこいつはぶち壊した。

あの量の酒をストックしてんのは少なくとも同年代の女子の中にはいないんじゃねーか。

おっさんの量だった。まじで。

俺も結構強いし飲む方だから、そういうやつだって分かって抵抗はなかったし、寧ろちょっと笑えた。