「あ、すいませーん」

のんきに手を上げて店員さんを呼んだ白城は、ウーロン茶1つ、なんて言ってまた俺に向き直る。

「いやまじで、冗談とかじゃなくてさ。可能性がないわけじゃないし」

ないわけじゃない、なんて言葉じゃ済まないかもしれない状況だってことは俺にも分かる。

もしかしたら、そうなってんのかもしれないし。

高野が山田のこと気になってて、最終的にそっちを選んだっていうことだってあるかもしれない。俺が知らないだけで。


「ん、咲良次これな」

「え、何で?」

「一回休憩」

前科がある分咲良も、少しシュンとしたけど白城の言葉に首を横には振れない。


…俺はこんな風に、白城みたいに自然と気は遣えないし、山田みたいに優しくもない。

必ず選ばれるなんて保証はどこにもない。