「加地くんが浴衣貸してなんて言ってくるから、今日あたり彼女が出来ましたって報告が聞けると思ったんだけどなー」

「俺もー」

「その浴衣だけサラッと寂しく返ってきちゃったんだもんねー」

「綺麗にクリーニング済みのな」

浴衣が返ってきた経緯に関しては、まじでもうほんとに悲しくなった。


『咲良ちゃんに浴衣ありがとうってお伝えください。これも渡してください』なんて書かれた紙が浴衣の入った紙袋に入れられてて。

それと一緒に入ってた、見覚えのある可愛らしい砂糖菓子にため息が出た。

…何なんだよ、ほんとに。


「まあでも、もう話すしか方法はないもんね」

「俺そんなにメンタル強くないし」

「バカだな加地。んなこと言ってたら、どこぞのイケメンに持ってかれるぞ」

「お前ほんと容赦ねぇな。」

んなこと、俺が一番分かってんのに。