「でも好きって言ってそれ以外何も言わなかったんでしょ?」

蓮くんにあまり飲ませすぎないで、なんて頼まれた俺と白城はさっきから咲良が頼む飲み物をチラチラ気にしながら話してる。

過保護だな、なんて思うけどこいつにはどうやら前科があるらしい。

心配するのも何となく分かるわ。


「…別に、それだけで伝わると思ってたわけじゃねぇし。んな簡単に行くとは思ってなかったけど、こうなるとも思ってなかった」

自分だって結婚前で、幸せだけど忙しくて大変なはずなのに、俺の話を真剣に聞いてくれるとこが咲良らしい。

「話を聞いてもらえないってとこが問題だね。花火大会の日に話せなかった分、言わなきゃならないことがあるのに、それも聞いてもらえないとなると…」

「目が合わないくらい避けられてるって、なかなかだよな。加地ほかに心当たりねーの?」

「あったらこんなに悩まねーな」

「まあ、確かに」


何なんだよ。

俺どーすりゃいいわけ?