~屋上~

屋上の扉の前に翡翠は立った。鍵が掛かってないか確かめて扉を開けた。

その瞬間、歌声が聞こえてきた。今まで聞いたことない声だった。

「この声……」

歌っている女子もこっちに気づいたようだった。

「………………ひっ!」

「ひ?え、ちょ、ちょっと待って!危ない!」

翡翠は走って少女が後ずさりしてフェンスから落ちそうになるのを手を取り止めた。

「ふう。大丈夫?」

「あ、あ、あう……」

なんとか落ち着かせて改めて少女を見た。

(あれ?この人は、もしかして霧ヶ峰さんかな?でも喋らないはず…………)

翡翠が知る霧ヶ峰雪音は喋ることがなく誰かと一緒にいたとこを見た人はいない。