「あのさぁ」
ユイがさっきとは違う真剣な顔をしてこっちを見たから
あたしは少し背筋を伸ばした。
「凪は、ほんまは気付いてたんとちがうの?章吾の気持ちも、自分自身の気持ちも」
「は?」
ユイのヤツ、何言い出すの?
「あんたはさ、逃げとるだけとちゃうの?この関係が壊れるのが恐いだけじゃない?」
…………何それ。
「あたしは逃げてもないし、ちゃんと考えとるよっ!!」
ハッと気付いた時には、机をバンッと叩いた後だった。
クラス中の視線があたしに注がれる。
「……ごめん。…ジュース買ってくる」
気まずい空気に耐えきれなくなり、教室を急いで出た。


