指先からのメッセージ


美容室に入ると同時に店長は迎えてくれた。

「いらっしゃいませ、白山さま」

前とはガラっと雰囲気が変わり髪を上にセットし、
爽やかな笑顔で迎えてくれた。

「前髪はまたぱっつんを、、」

うんうんと優しく頷いてくれる店長から目が離せなくなった。

ドキドキが止まらなくて、自分でも良く分からない。

わたしは受験のストレスで少し落ち込んでいたが、店長と話しているうちにそんなのは忘れていた。

「もう落ちる気しかしなくて、、」

「そんなことないよ、大丈夫だよ」

としっかり目を見ながら言ってくれた。

接客業だからって分かるけど、もうわたしの心は店長でいっぱいになっていた。