「どう!?どう!?今の驚いた!?」

「燐ちゃん何点何点っ!?」

「──・・・•ご、58点」



楽しそうにはしゃぐ怪物達を那智さんは引きつった顔で冷たくあしらう。ドギマギしてる所を見るあたり那智さんも相当驚いたのだろう。

グシャリ、心臓の部分を抑えながら、額に冷や汗を流していた。



「えー!?58点!?ひっくううう!」

「せっかく頑張ったのに!何だよその点数ー!」

「…お、俺は度が過ぎた遊びは好きじゃねえんだよ」



ブーイングの嵐を鬱陶しそうに交わし、はい散った散った、と。怪物二体を教室の中に押し込んだ。


色々呆気にとられている私はその光景をぼけっと見ているだけ。置いてけぼり状態。


すると、そんな私に気づいた怪物の片割れが私の方に視線をやったのだ。──ドキリ!心臓が直立した。



「お?そちらのおじょーさんはどちらさん?」



ソプラノの響きの良い声を軽やかに弾ませながら怪物の片割れ、仮に怪物Aさんとしよう。その怪物Aさんがお面を剥ぎ取った。



ふわり、マリンノートの爽やかな香りと一緒になって露わになった怪物Aさんのお顔。

それは、それは、もう。綺麗な、綺麗な顔立ちで。女の子かと見間違えてしまう程に美しかった。



マーメイドアッシュの透き通った髪色に、さらさらのマッシュヘアは重くもなく、軽くもない丁度良い感じ。

涼しげな二重の目元に、綺麗な一本筋の通った小さな鼻と、赤くて形の良い唇。不健康な真っ白い肌。骨と皮だけの薄い身体。背丈は175㎝といったところだろうか。

今流行りのサブカル男子の良い所取りみたいな、そんな男の子だった。



「…っ、えっと、あの、わ、わたし、は、!」



赤くなった顔ができるだけバレないように下を向いて、もじもじ、たじたじと言葉を詰まらせる。

私の声に聞き覚えがあったのか怪物の片割れ、怪物Bさんが、あー!と嬉しそうに駆け寄ってきた。



「わあー!林檎ちゃんだ!林檎ちゃんだ!」



怪物のお面を被ったまま私の周りをくるくる回る。…犬、みたい。

顔は見えないけど恐らくこの怪物Bさんはチッカさんだろう。