こんなに意固地になって断る私もどうかと思うけれど、ここまで頑なに断り続けていると、最後までそれを突き通さなければいけない!!という謎の信念が心に宿っていた。

今更後には引けない。とはまさにこの事であった。



「別に一発ヤらせろなんて言ってないんだからそんな露骨に嫌がらなくてもいいダロー」



唇を尖らせて、つまらなそうな顔をする。

いっ、一発ヤらせ…!シュボン!聞き慣れない刺激的な言葉についつい顔が赤らんでしまう。那智さんのえっち!



「むしろ林檎ちゃんにとってハッピーな事しか言ってないじゃん?なあ、そうだと思わないか?俺ってばちょー優しくない?」

「…っ、ぜっんぜん、はっぴーじゃないです。私はお願い事なんてないんですってば」

「いやー、なんで無いんだよ?おかしくなあい?だってこの那智 麟之助様が直々にしかも3つも願いを叶えてやるって言ってんだぞ?そんなありがたーい機会もう二度と無いかもしれないんだぜ?」



俺はレアだ。レアな人間だ。なんて真顔で抜かす那智さん。

何を言ってんだ。この人は。

確かに色んな意味でレアなのは分かるけど。そんなレア物ノーセンキューだ。



「…あ、じゃあ、お願いありました」

「お!?なんだなんだ!?」

「那智さん早急に帰って下さい」

「……、」



ムスッとした顔で私を見降ろしてきた。身体からドス黒い何かが漏れ出ている。や、ば、い!喰われる!殴られる!殺される!ごめんなさい!



「林檎ちゃん?おじさんをからかっちゃいけねえぜ」



もう二度と那智さんにはふざけた事は言わないと心に誓った。ふざけたつもりは全く無いケドネ!それが本音ダケドネ!