ループを使い移動してきた場所は、
先程の部屋より一際豪華な何処かの屋敷のようで窓からは雲海が見られた。

「ようこそっ!
我らが0の極秘機密基地へ!」

『ここは…?』

「妖精族の住んでいる空だよ。
あと少しだけ行けば妖精族の
ところへ行ける。
だけど、0の関係者以外は
特殊な魔法で
誰もここには来れないんだ。」

クロエは、空だと聞かされて驚く。

「んーと?じゃあ自己紹介してって」

クランがそう言うと、青が少し入った黒髪で
青い目の少し中性的な顔。

いいところのお坊っちゃまのような可愛らしい衣装を着た男の子が口を開く。

「俺はシルバー。表向きここの国王の養子、
実際は王の専属護衛係を務めている。」

シルバーと名乗る男の子は、
前髪をかき揚げ、
薔薇の紋章を見せた。

(何歳だろ?身長同じくらいだなー…)

とクロエがのんきに考えていると、
シルバーが思ってもいない発言をする。

「いっとくが。

俺はお前と同学年だ。」

『!?』

「…失礼なヤツ」



次に、巻かれたブロンドヘアーに緑っぽい透き通った目をした人形のように可憐な女の子が話しかけてきた。

「私は人形師のアリス。貴女、とっても綺麗な瞳をしているのね。」

140cmくらいの身長の女の子が、クロエの顔を魔法で空を飛んで見入る。

ガラスのような吸い込まれそうな目だとクロエは思った。

(なにこれ…)

次第に視界が霞んでくる。

「アリス、クレアは大事な仲間だよ。
いくら美人だからって人形にしたらだめだ。」

「はーい

ごめんね?クレアちゃん。」

クロエは訳が分からず首を捻る。

「アリスは、瞳に捉えたものを人形に出来るんだ。
特に男は早いよー」

やれやれと言ったように、クランは肩を竦める。

(人形!?)

「私の薔薇印はね……ここ。」

アリスは、
首についていたリボンをとると
うなじをクロエに見せる。

薔薇印と共に奇妙なことに首元に縫い目のようなものが見えた。

「アリスは、生きた人形集めの趣味を持つ貴族に仕えてもらっている。

要はスパイだ。

でも、そろそろ奴も捕まえないとね。

寂しくないー?」

アリスは、それが楽しいんじゃないと笑っていった。



「じゃあ次はぼくですね。
名前はコウ。
隣国の姫の付き人です。」

透き通るような紫色の髪に白のブラウスと
サロペット仕様の黒の膝丈ズボンを履いた
可愛らしい男の子だ。

「ちなみにぼくも、キミと同い年です。」

(!?)

そう言うと、
コウは舌を出した。

そこには薔薇の紋章。

(そんなところにもあるんだ…。)

「よろしく…お願いします ね?」

フフッとコウは笑ったが、なにかを感じ取りクロエは少し強ばった表情になったのだった。


「やっとあたいが言える時になったよ。

あたいはアキ。
今は、ここの国王の右腕と呼ばれる男の正体を追っているんだ。

恋人としてね。」

色気と美貌が溢れ出るアキと名乗る女は、
ウェーブした赤髪をハーフアップし、真っ赤な胸元の開いたドレスを着ていた。

「こいつ、こーみえて結構やるんだよー
副隊長としてな。」

『副隊長!?』

「よろしく!」

そういいながら、
胸元の薔薇印を見せた。