中へ入ると、五つの団体で五種類の制服を着た人達が一斉に振り向く。

中央には、その代表と思われる5人が立っていた。

クロエはなんともいえぬ居心地の悪さに背中に汗を流した。

「ようこそ魔法省へ

いやー、かなり優秀な上級魔法使いが誕生したって聞いて驚いたよー。」

「興味深いですね…。是非とも我が破頭隊に入って欲しいものです。」

腰までの綺麗な金髪と、青い目をした美男。

ぼさぼさの濃い緑の髪に手に羅針盤の紋章。
ブカブカの制服を着た見かけ14歳程度の天才児。

そんなふたりが口々に彼女に話しかけた。

『あ、の…。』

クロエは困惑の表情を見せる。

すると、中央の大きい椅子に座ったイズミが口を開いた。

「我は五大魔法使いの長。
警備隊長を務めている。

この者達は上級魔法使いの中のトップ。
五大魔法使い。

そして、周りにいるのが各部隊の上級魔法使いだ。」

そう言うと、イズミは両腕の大きい翼の紋章を見せた。

警備隊の服は、真っ白の軍服のようなものだ。

「ようこそ、クレア・フルーム。」

聞き覚えのある声にクロエは顔を上げる。

『ヒルダ先生!?

…そっか、
先生は五大魔法使いですもんね…。』

「そうだ。お前がここに来ることはだいたい予測がついていた。歓迎するぞ。我は特攻隊長を務めている。」

そう言うと、ヒルダは頬に浮かぶ獣の爪痕を見せた。

制服は、女性は赤のタンクトップでへそ見せシャツに短パン。

男性は、赤のタンクトップに機能性のあるズボン、ブーツと言った動きやすい露出多めの制服だ。

『よろしくお願いします!』

「私はトウハ。破頭隊隊長を務めています。
…実に興味深い。」

先ほどの天才児少年は、手の甲にある紋章 羅針盤を見せた。

『…よろしくお願いします。』

「……我が名はシド、死神隊長だ。」

威厳のある嗄れた声が発せられクロエはつばを飲み込む。

真っ黒なマントを顔が見えないほど深くかぶり、首から鎖をぶら下げている。

シドと名乗った謎の多い男は、背中を見せた。

そこには死神隊、通称死神のシンボルである大釜の紋章が浮かんでいた。

『よろしくお願いします』



「はいはい!俺が最後?」

と言った先ほどの綺麗な
金髪の男性は目を
キラキラとさせて言う。

「俺はクラン。極秘部隊、通称 0って言ったらわかるかな?
よろしくね。」

(この人が…
裏社会のボスとも言える0の隊長?)

先程の明るい挨拶からして、
かなり普通に見えたのだが…

とクロエは失礼なことを思う。

だが、実際クランは
イズミに次ぐ、
否イズミより同格かそれ以上の
実力の持ち主だ。



クロエは、まだ見たことのない
薔薇の紋章を目で探す。

「あー…、0の薔薇印は
仲間にしか見せられないんだ。

クレアちゃんが零に入れたら見せてあげるよー。」

そうからかわれるように言われてクロエは少しむっとした。

『…どうやって隊を決めるんですか?』

クロエが質問をすると、
イズミが手で何かを指図した。

すると、
五大魔法使いがそれぞれの
紋章が書かれた魔法陣の上に乗る。

「クレア その陣の真ん中に立ってみなさい。」

クロエは、言われた通りに陣の中心に立った。

「「「「「解」」」」」

五人が声を合わせていうと、魔法陣は五色に輝く。

クロエは、片目に一瞬だが違和感を覚えた。

光が消えると、
イズミは指示を出す。

「頬、手の甲、背中、腕…。

どこにもないようだな。」

その場にいる五大魔法使い、
上級魔法使いは一瞬静まると、
クランがその空気を壊した。

ーパチパチパチ

手を叩いて、
にこにことした胡散臭い笑みを浮かべてこちらに近づく。

「クレアちゃん!
いや、クレア・フルーム。

君は僕の部隊のようだね。」

『え…』

ーザワザワ

クランの部隊 0
実質5人しかいない、選ばれしもののみしか入れない部隊だ。
上級魔法使いは世界に1000人。
その中に5人しかいないのだ。

クランがそう言うと、
4人の上級魔法使いが
クレアの元へ来た。

「じゃ、イズミ隊長。
クレアちゃん借りますね。」

クランはそう言うと、
5人一気にループさせた。