ーコツコツコツ
待合室までの通路に、一つの足音が響く。
「…クレア・フルーム。あの傷を一瞬にして治した逸材。“天羽”の姫。」
“天羽”この世界で伝説とされている禁じられた酒の名だ。
その味はこの世のものとは思えぬ美味しさ。
しかし、その美味しさ故に依存性が強いヘロインの様なもの。
そして、天羽はいわば人の“血”であるということ。
一口飲めば寿命が伸び、心の臓を喰らえば不老となれる。
故に、今までの天羽の持ち主は残酷な死に方をし、1人もその与えられた命の期間を全うできたものはいなかった。
そして、その血の持ち主がクロエだった。
「やっと見つけた…。」
暗い通路に一人のクスクスとした笑い声が響く。
「絶対、手に入れてみせるよ。
待ってて…××」
少年は待合室は足を進める。
「初めまして、私の名はアイリス・フリード。選手番号031、キル・フランで間違いないわね。」
「はい!先輩♪」
そう、先程の少年はキル。
その表情はなにか楽しい“ゲーム”を始める子供のようだった。

