クロエとヨウテスは声の主を見上げると、ダークブラウンの短髪に赤い瞳の少年であった。

「俺はキル・フラン。
吸血鬼さ!君はクレア・フルームさん…だったよね?そして君はヨウテス・クラビアン!君達いつも五人で行動してるよね?学園で噂になってるんだ。物凄い美形集団がいるって。」

キルはそう言って人懐っこい笑みを浮かべ
ヨウテスの隣に座った。

『う、噂って…少し恥ずかしいね。』

「いやークレアの噂は俺もよく聞くぜ。」

『えっ、それってどんな…』

「教えない」

ヨウテスが面白そうに笑うと、キルは微笑ましそうにふたりを見た。

「本当に仲がいいんだね。大丈夫、クレアはいい意味で注目されてるだけだから。」

『そ、それならいい…のかな。』

「まぁなにはともあれよろしくなっ」

「あぁ!」

『あ、始まりそうだよ!』

三人並んで、前を向くとトンカチを持った少年と羽ペンを持った少女が立っていた。

「…針山」

そう言いながら、
少女は羽ペンで空に針山と書いた。

すると、たちまち地面からいくつもの針がでてくる。

『す、凄い!!』

彼女は天才小説家として有名なAクラスの女生徒だった。

対して、男子生徒はBクラス生、大工の家の跡取り息子。

彼は巨大なハンマーをふるい、針山を潰した。

「選手番号001、026。それぞれの控え室へ…。」

勝負を見ていたクロエは、
自分を招集するアナウンスを聞いて席を立つ。

『いいところだったのに…』

「クレア、がんばれ!」

「相手はSクラス生だ。気を抜くなよっ」

キラとヨウテスに背中を押され、控え室へループした。