「ふたりともかっこよかったぜ!」
レイはヨウテス達と幼なじみなのでよくふたりのことを知っている。なにしろ彼女自身も六大貴族であり、『朱雀族』だからだ。
『みんな六大貴族だったんだね!』
「まずそこかよ…」
ヨウテスは清々しく笑う。
「クレアは大丈夫みたいだな」
ヨウテスが言いたいのは、六大貴族だとわかってもクロエの態度が変わっていなかったからだ。
『ん??』
「いや、なんでもねーよ」
ヨウテスがそう言うと、ルカは思い出したように言う。
「俺はリオの底知れない馬鹿力の方が驚いたな。」
「それって、褒めてるの?貶してるの?」
リオはぷくっと頬を膨らませた。
見かけは可愛らしい美少年だが、脅威的な身体能力を持ち合わせている。
「両方」
いつも無愛想なルカは、悪戯っ子のような笑を見せた。
ードキッ
(なんだろう…)
クロエは、胸の高鳴りに首を傾げる。
「?クレア、どうしたの」
『ううん、なんにもないよっ!
それよりレイの解放がみたいな』
そうだった!と言うようにレイは苦笑いをする。
「じゃあ、ルカ相手してよ」
「…いいけど」
面倒臭そうに返事をすると、訓練室の真ん中へ足を進める。
「!めっずらしー…ルカの魔法は凄いんだよ」
『何が凄いの?』
「全部っ、とにかく強くて、俺達も解放したところ見たことないんだ。」
全く説明になっていないが、とにかく凄いことはわかったクロエは興味深そうに見つめる。
前回ので学んだクロエは予め、シールドを貼って戦闘を見ることにした。
『よーい、開始っ!!』
訓練室へ澄み渡った声が響き渡ると同時に、レイは早速“解放”をした。
「“解放”」
レイのポニーテールされた
少しくすんだ赤の髪はウェーブし、
半分の顔は仮面で隠れている。
ペンダントに変形されていた杖は、
炎を纏った槍にかわった。
「最初から全力でいかないと、
ルカには負けるからね」
「そりゃどーも」
全身に赤い布を纏いその背には炎の翼が見える。シールド越しにでも伝わる熱気。幻想的な姿。
それは“朱雀”そのもののようであった。

