シルバーが戦闘に加わる。
朱雀族との人数の差は明確で全員が彼らに集中して一刻も早く終わらせようとしていた。
その隙を見て、レトはクロエの居る場所へ駆け出した。
地を強烈な力で蹴り一瞬でその場へ飛び込む。
『ルカっ』
クロエは彼を熱く見守る。
「レオン、クロエ様を離せ。」
レトが唸るように言うとレオンは下品な笑い声を上げた。
「クロエの騎士か。
お前も相当な使い手らしいが、
この女の血を飲んだ我には勝てまい。」
狭いその場で力を振るうのにも無理がある。
しかも、クロエの血を飲んだ彼に時の魔法は効力が切れるまで効かない。
最悪の状況にクロエは必死に鎖を外そうともがいた。
鎖には魔力を封じる鉱石が使われていて、力魔法で壊すことも出来なかった。
「ー力魔法ー」
レトはレオンにかがんで回し蹴りをするが、彼は武術が人並み外れていて容易に交わされた。
レトもそれなりに武術を身につけているため追い打ちを防いだ。
『レトっっっっっっ!!!』
クロエは必死に叫んだ。
彼の後方にもう一人隠れていたのだ。
「っ..!」
レオンの攻撃に集中し過ぎて後ろの女に気付かなかった彼は正面からまともに攻撃を食らってしまった。
血飛沫がまって、クロエの頬につく。
一瞬何が起こったのか分からなかった彼女はしばらくその場を見つめる。
周りの者もちょうど朱雀族の者を片付けてこちらに向かっていた頃だった。
床に倒れてぴくりとも動かない彼。
どくどくと血が流れているその光景を彼女は何度も目にしてきた。
そしてその者がどうなるかも...。
『アキ....なんで?私が彼を思っているって、貴方なら気付いていたでしょうっ!!!』
そう、レトを斬り付けたのはアキ。
0の副隊長で一番まともで面倒みのいい彼女。
「クロエは、苦しい?
苦しいだろ、辛いだろ。
アタイはあんたのせいで彼を無くしたんだ!
クランは、こんな父親に捨てられたアタイを救ってくれた。
あんたさえ生まれてこなければ...!!」
レオンの隠し子のアキは朱雀族を追い出され、その上殺されかけた。
そんな彼女を救ったのがクランだった。
いつしか彼女は彼に恋に落ちていたのだろう。
完璧な八つ当たりであった。
クロエが彼女の一族に散々な目に合わされたのも知っているというのに……。
『クランは生きてるっ。』
「勝手なこと言うな!!この男があんたのせいで死んだと言っていた。」

