「私は長く生きすぎてしまったんだよ。
小さい頃、馬鹿な父親が居てね、天羽の心臓をオークションで買って私に無理矢理食べさせた。
心臓は本当に一部でコインと同じくらいだったよ。それでも私は不老を手に入れてしまった。
天羽にずっと謝りたかった。
だが、改めてクロエ様に出会って何も言えなかったんだ。
だから私はせめてもの思いでクロエ様を自由にさせてあげたかった。
天羽の運命も何も感じて欲しくなかった。
だがそれは無理らしい。
私はクロエ様の大切な仲間を止められて彼女のために精一杯のことを成し遂げられた気がするよ。
そしてお前にもう一つ、
私の命の代わりに与えよう。」
シルバーは黙って聞いていたが、
最後の言葉に首を振った。
「そんな、イズミ様はとても」
言いかけていた言葉が途切れる。
彼はもう目の前には居なかった。
「イズミ、様...?」
血も何もそこには残っていない。
今までのことが嘘のようだ。
ヒルダは戦いの間をすり抜けシルバーの肩を叩いた。
「痣、消えたな。」
彼は驚いて自分の腕や足を見回す。
手の爪もすっかり元に戻っていた。
痣は生まれつきあった。
ということは彼の魔の血は封印されたのかも知れない。
「イズミ様....」
もうこの世に存在しないであろう彼にシルバーは語りかけた。
「ありがとうございます」
ヒルダは何があったかおおよそ予測がついているのだろう、そのことは触れずにシルバーの腕を掴んで立たせた。
「朱雀族との攻防戦がまだ続いている。
行くぞっ」
溶けかけている足場。
この太陽の日差しと炎のせいだろう。
ちょうど真昼の今は、皆体力を消耗していた。

