『さぁ武器を天に掲げよっ!
この腐った世界を私が...私達が変える...!!!』
クロエの大きな声が響いた。
次の瞬間には大きな声を上げる戦士達。
昨晩、シドが殺された。
その情報が入ると早朝にもかかわらず皆は声を大にして叫ぶ。
「「「「おぉぉぉおおっっっっっ!!!!!」」」」
人々は動き出した。
クロエを先頭に続々と人が歩く。
彼女の目はもう隠されていなかった。
怒りの滲む紅の瞳に慈愛に満ちた碧の瞳。
道を空けぬ者は居なかった。
少しずつ近づいていく大きな建物。
戦場の舞台は街のど真ん中にある朱雀族の屋敷。
クロエは立ち止まると前を見た。
「まさか貴女様から来て頂けるとは...。」
レオンと神官長とも取れる男が深々と彼女に頭を下げた。
『貴方たちが仕向けたくせに...
最後まで猫をかぶるつもり?
魔法使いの面汚しが。』
彼女からは想像できないほど低い声がその場を凍らせる。
誰もが一瞬彼女に怯んだ。
地面に大きな亀裂が入り地が持ち上がる。
風は彼女を取り巻くように渦巻いていた。
「怖いじゃないか...。」
レオンは憎たらしく笑う。
その隣にいるレイにふと目をやるがこちらに混ざる気は毛頭ないのであろう。
ずっとクロエを睨んでいた。
『私は貴方になんて負けない。
ー解放ー』
一段階目の解放が終わると
クロエは等身大の杖を地面についた。
すると、入った亀裂からマグマが吹き出してくる。
クロエは二段階中の一回しか解放ができない。
ドレスの裾からのぞく鎖のついた禍々しい足を眺めた。
隣にいた不死鳥になったエルとペガサスになったキルアが顔をすり寄せてくる。
『大丈夫、貴方たちの成すべき事をしなさい。』
人数的にもクロエの力量に怯んだ下っ端の神官達は焦っている。
『行け』
クロエの声に仲間達は拳を振り上げ地を蹴った。
目の前を通り過ぎるリオ達や0の姿が見える。
殺気を感じ前を見るとかつての親友、レイがこちらに飛びかかってきた。