リオは幼い頃にビアンカによく会っていた。
ふたりは世にいうの婚約者同士。
とても仲の良いふたりの事を両家の親も温かく見守っていた。
「ねぇリオ、何でリオはそんなに馬鹿なの?」
リオは吹き出して「な、なんでそう思うの。」と焦りながら聞いていた。
「何で私の婚約者なんかになりたかったの?」
リオは可愛らしい目をぱちぱちとした。
実はこの婚約は親同士の契約ではなく、
リオ自身が望んだことなのだ。
「それはビアンカだからだよ。」
そんな答えを返したリオを怪訝そうに見つめた。
「ビアンカしかいないと思ったの...それじゃ、だめ?」
またもや可愛らしい目を上目遣いに訪ねてくる。
確信犯なのかなんなのか。
ビアンカは真っ赤に染まった顔をそらした。
「べつに...」
「よかったぁ」
安心したように野原に寝転ぶリオ。
母親の声が聞こえると仲良く手をつないで屋敷に戻った。
それから長い月日が過ぎるとリオ達は11歳になった。
その日は森の中をふたりはのんびりと歩いていた。
「今日は暗いね...」
ふと自分の手を掴んでくるビアンカに、リオは足早に屋敷へ戻っていた。
すると大きな遠吠えが聞こえたと思うとビアンカは驚き足を滑らせて近くの小さな岩に頭をぶつけてしまった。
まだ幼いリオには何が起きたのか一瞬分からなかった。
目の前に大好きな彼女が血を流して倒れている。
「ビアンカ...?」
慌ててリオはビアンカを背負って屋敷に戻る。
リオの両親はそれに気付いて慌てて治療を行った。
「ごめんなさい、ビアンカに怪我をさせて....。」
ビアンカの両親はリオのことを責めなかった。
「いいのよ、魔法使いはそんなに簡単に死なないわ。
自分を責めないで?
リオ君は娘をちゃんと連れて帰ってくれたじゃない。」
リオの両親もそうだった。
だが、ビアンカが目を覚ました時に全ては大きく崩れた。
「あなた、だれ?
お父様お母様、彼は一体...。」
その場にいた全員は時が止まったように動かなかった。むしろこのまま止まっていてくれと誰もが願った。
他のことは全て覚えていたのに、リオのことだけが彼女の記憶からなくなっていたのだ。
「ビアンカ...彼はリオ君!あなたの大切な人よ!?」
仲の良いふたりが此処で終わってしまう。
ビアンカの母は悲痛に叫んでいた。
「もういいです。浮かれていた僕が悪いんです。ビアンカを独り占めしたいなんて思ったから天罰が下ったんだ。」
悲しく笑ったリオにビアンカの家族、リオの両親は何も言うことができなかった。
その出来事以来ふたりは高校生になるまで一度も会わなかった。

