翌日、警備の薄くなった学校を抜け出して妖精族の元へ行ったビアンカ達。
「珍しい客だね。」
ライトは三人を見て言った。
「クレアはここにいないよ。彼女が何処に行ったか、一度聞いてみるね。」
誰に?
とは皆言えずに、黙ってついていく。
すると、ライトはいきなり空を見て話し出した。妖精族が変わっていると聞いていたもののビアンカ達は唖然とみている。
「クレアの居場所は、龍鬼族に聞いた方がいいみたいだね。」
そう言って微笑むライトに、
首を傾げながらも頷いた。
…
…
…
「で、私の所に来たのね?」
蓮はビアンカ達を大きな泉に案内した。
「クレアのことは、こちらにも情報が来ているわ。
あれは、本当なの…?」
瑞も伺うようにビアンカを見る。
「……はい」
そのうちにバレてしまうのなら自分から言った方がましだと考え全てを話す。
「…思った以上に深刻ね。」
「クレアの居場所がわかりますか?」
「やってみるわ。」
蓮は泉に手を翳す。
「ー水鏡ー」
水鏡とは、いま誰が何処に居るのか見れる魔法だ。
水面がぐにゃりと揺れてクレアの形を捉える。
だが、それは一瞬で消えた。
「可笑しいわね…クレアは何処か特殊な結界に護られているのかもしれないわ。」
クロエは極秘部隊0。存在は誰にも知られていない。
「そんなの…何処に?」
ビアンカはその優秀な脳を必死に働かせる。
「クレアは…上級魔法使いでしょ。」
ビアンカははっと顔上げた。驚いて瑞達は顔を覗く。
「クレアは上級魔法使いのどの部隊に入っているの?」
周りは気付いたように記憶を辿る。
「そんなの、一回も話されたことないよ。」
蓮は頷いて言った。
「確かめる必要があるわね。
でも、今日はもう日が暮れているし…
屋敷で休みなさい。」
ふつふつと湧き出す焦りを感じながらビアンカ達は渋々頷いたのだった。

