ライトは目を細める。
「貴女は…まだ、あの娘の事を…。
何故、そこまで…?」
『レイは根っからの悪人じゃない。
それに、まだ彼女の闇を見た訳では無いし決めつけるのは嫌だ。
あんなに綺麗な瞳をしてるんだもん。
私は、レイを信じたい。』
クロエの秘められた思いが語られる。
きっと、内心では不安で仕方ないはずなのに。
「…貴女は、強いですね。
いいえ、強くなった。
強くて、美しい。」
金色の何処までも真っ直ぐな瞳を向けられるクロエは恥ずかしそうに笑った。
「私達は、何処までもついていきます。
勇気ある祖先アルトの意思を此処に。」
クロエの手の甲に口付けをすると、様々な精霊がふたりを包み込む。
『アルトって……まさか』
手の甲には妖精族の美しい羽の印があった。
「もう、二度と同じ過ちは繰り返しません。
この印は妖精族に伝わる紋章。
きっと貴女を救ってくれる。」
どんどん消えていくその印を見る。
「大丈夫、“見える”人にはちゃんと“見えて”いるから。」
何処までも読めない妖精族。
何処までも真っ直ぐな妖精族。
何色にも染まらない。
『ありがとう』
突如、空に大きな花が浮かんだ。
皆がこちらに来て一緒に空を見る。
会場では、まだまだ踊ったり食べたり飲んだりとお祭り騒ぎだ。
「ねぇ、クレア」
『ん…?』
「私、本当はこんな穏やかな日々が壊れるのが怖い。」
いつも強気なビアンカが、小さく見える。
『そんなの、私も一緒。でも、これを乗り越えないと一生このまま。
そんなの嫌なんだ。』
そういうと、何故か驚いたようにこちらを見てきた。
『?』
「なにもないわ」
“強くなったね”
そうビアンカは心の中で呟いた。
クロエが何処かへ行くと、
リオがビアンカの隣に寝転ぶ。
ビアンカは一瞬驚いたけど、
隣に寝転んだ。
「聞いてたんでしょ?」
リオは何も言わずに、綺麗な星空を見た。
“ねぇ”
リオの言葉に首を傾ける。
「この世界に、たったひとりだけ救えるとしたら。
誰を救う?」
やけに真剣な顔で、向かい合わせに寝転ぶリオに嫌でもドキリとさせられる。
あまりにも魅力的で、ビアンカは強い瞳に引き付けられた。
「…私は、わからないわ。」

