太陽と月の後継者



ぱっと目を開けるとクロエはまた自分の部屋に戻っていた。

『これって魔法?』

ーゴンゴンゴン

首を傾げていると、
ドアが強くノックされる。

『誰?』

「私よ!」

今時、私私詐欺があるのかとクロエはノックをするビアンカに突っ込む。

未だに制服のまま、しかもブーツを履いている。

『やっぱり、妖精族って不思議。』

クロエは呟くとドアを開けた。

「おっはよー!」

「おはよう」

ビアンカの前にくりくりの瞳を輝かせるリオ。

クロエは、やっぱりかと心の中でまた突っ込む。

(さっきドアを、叩いていたのはリオだね。)

そんなのんきなことを考えていると、
ビアンカはクロエを怪訝な目で見る。

「…今日は日曜日よ。
なんで制服なんか着てるの。」

『えっ!?』

今日は日曜日

いや、クロエはさっきここに戻ってきたのだ。

ビアンカは、そんなことは知らないというように私服姿で立っている。

(まさか…時を妖精族も操れるの?

…今度聞いてみよう。)

「あーもう、リオはここで待ってなさい。

クレア、着替えるわよ。」

ビアンカは、クロエの手を引っ張ってクローゼットを開ける。

ノンスリーブの白いワンピースを取り出すとせかせかと着せる。

いつもクロエが着ている服だ。

髪にバレッタに変形させた杖をつけるとリビングに戻る。

「もうすぐ夏ね。」

勝手に靴箱を漁って綺麗なサンダルを取り出すビアンカをしばらく見つめる。

ちゃっかり衣替えを済ましてしまったビアンカに、リオとクロエは感心するしかなかった。