太陽と月の後継者


「行くわよ。」

放課後、
ビアンカと妖精族の屋敷へ
行く約束をしているクロエ。

「妖精族はちょっと特別で、この印がないとたどり着けないの。

だから、今回はループじゃ…」

ビアンカは手に持っている札のようなものを見せるが、クロエは行ったことがあるためループをする。

『ーループー』

「え、ちょ。」







「ちょっと、
だからこれがないと…って
あれ?なんで入れてるの?」

それはクロエにもわからないが、
なんとなく来れる気がした。

『行こっ!』

ビアンカは、
慣れた様子のクロエに首を傾げる。





「…何年ぶりかしら。」

大きな屋敷は、悪魔族と同じくらいらしい。

悪魔族も、妖精族と同じように立ち入り許可証みたいなのがいるのだ。

他の部族とは一線を引いている。

独特の雰囲気を持ち、対になっている二部族は一見敵対しているように感じるが、本当は仲がいいのだ。



「…!

クレアだ

ビアンカ様もいる。」

ビオラは瞳をキラキラさせて兄のライトを呼ぶ。

「おにい様!クレア達が来た!」

「そうだね

クレア、ビアンカ嬢、
お久しぶりですね。

貴女方が来た理由はわかっています。

…協定は結びません。」

ビアンカは驚きと
悲しみの表情を見せる。

妖精族は意志が固い。

その揺るがない決断は鉄よりも固い。

ビアンカは、
悲痛な声を出した。

「何故、何故ですか!?

…狙われるかもしれないのですよ。」

ビオラは、視線を下に逸らす。

炎は争いを生み、
水は愛を注ぎ、
風は喜びを運び、
地は命を与え、
闇は全てを憂い、
光は全てを照らす。

それぞれの属性、部族の始まり。

光は全てに許しを
与えなければならない。

例えそれが間違いだとしても。

「だが…」

ビアンカはその言葉に反応する。

「クレアがそれを望むのであれば、
我々はそれに従おう。

全てを司る君、我らの光。

それが我らの定めだ。」

ライトは、真剣な眼差しをクロエに送る。

ビアンカやビオラも、クロエを見た。

クロエは、なぜ自分の決断がこうも大きなものになるのかと不思議になる。

やはり、自分に隠される秘密の一つなのだろう。

『…共に、戦ってください。』

その言葉に、ライトはふっと笑をこぼした。

協定を結んだ。

ビアンカは、頬を緩めるとすぐそばにある太陽を仰いだ。

「私達は、その時が来るまで見守る。」

ビオラとライトはそう言うと、
また私の背中を押した。

「運が貴女についてくれますように。」