太陽と月の後継者

『…よし』

クロエは、今日集めた情報を伝えるべく０のアジトへと行く。

いつもの部屋に行くと、クランがいた。

｢やぁ、クレア。
そろそろ来る頃だと思ってたよ。｣

『こんばんは。
さっそくいいですか？』

クロエとクランはソファーにつく。

『朱雀族は、六大貴族を牛耳るため戦争を始めようとしています。

悪魔族は、他の六大貴族と協定を結び朱雀族の支配を阻止しようとしています。
近々結ぶと思いますが協定を結んでない六大貴族は妖精族のみです。』

クランはじっとクロエの話を聞いている。

続きを待っているかのようだ。

クロエはできるだけビアンカの話をするのは避けたかったが、どうやら無理らしい。

『…悪魔族の話ですが、次期族長候補の方が朱雀族によって操られています。』

クランは、驚いた顔をしていた。

『私の学友に朱雀族の次期族長がいるといいましたよね。他にも六大貴族はいます。
悪魔族次期族長の妹 ビアンカ･チルダ
大狼族次期族長 リオ･クラネス
幻人族次期族長候補 ヨウテス･クラビアンです。』


クランは、息を吐くと何時もの胡散臭い笑みを浮かべた。

｢君は素晴らしい才能を持っている。
短期間でこの量の情報を集めるとはね。
人脈にも恵まれているようだ。

まだ、何かあるのかな？｣

その勘の鋭さに、優しいクロエも引きつった表情を見せる。

『…今週の日曜日、
朱雀族の屋敷へ行く約束をしました。』

｢へー…それは楽しみだ。

何かあったら、“これ”で知らせてくれ。｣

クランは、耳元のイヤリングを触った。

『……私は、0の一員でもありますがひとりの意思ある人間でもあります。
この計画に加わったのはレイを疑っているからではありません。信じたい、信じているから加わったのです。それだけはお忘れなきようにしてください。』


クロエが出ていくのを確認すると、クランはひとつため息を吐いて呟いた。


｢…君は本当に、昔の私に似ているね。｣


悲しそうな、嬉しそうな…そんな複雑な表情をしながら……。