似合うだろ。
なんて少し自慢げに言う男。
「に、似合うって、こんな..。」
オフショルマキシワンピなんて..。
いや、ワンピースていうよりドレス?
ファッションど素人の私でも分かるくらいの上質な生地なのだ。
胸の下すぐにゴムが入っているから胸元が強調されていて、しかもそのゴムのおかげで裾までフワッとしたシルエットに足長効果。
マキシ丈で足が見えないし、肩ががっつり出ていても純白の生地のおかげで下品には見えない。
「こ、好み..。」
感激のあまりつい出てしまった言葉に、男が優しく微笑んだことに私は気づかなかった。
「うし、そろそろ本題にはいるぞー。」
「本題?」
「そ。あんたが何者か知りたい。」
目の前の男が発した言葉で空気が一瞬にしてピリついた。
先程までのおちゃらけた顔をしているが、空気が違う。
普段から空気が読めない私でも分かる。
ニコニコと微笑んでいる今の顔も本物だと思うが、目の奥がギラついている。
なぜかそう思った。
「私が..何者か..。」
そういえばそうだ。
助けてもらってから、疑問が一つも解決されていない。
ここはどこなのか。
目の前にいる男の人は何者なのか。
そして、なぜ私はここにいるのか。
とりあえず、
「あの..!」
「ん?」
「今まで失礼な事ばかり言って、思ってごめんなさい。」
「ぷっ...思ってたのかよ。」
当たり前でしょ、この変態!
それよりも..、
「それで、これからのことなんですが。知っていることを全てお話しします!」
負けるな、怖気付くな。
堂々と、そして謙虚に。
「だから..、その腰にあるものを外してください。」
私の目がおかしくないのならばあれはきっと剣だ。
私が着ていた着物も知らなかったみたいだし、この人の西洋風な格好からして日本特有の刀ってことはないだろう。
「私も聞きたいことがあります。できれば五体満足のまま..。」
「それでもあんたが全てを話してくれるっていう保証は?」
そりゃそうだ。
例えば自分の家に見ず知らずの男がいたら私だって盗人か逃亡中の殺人鬼かとしか思わない。
それを、道を間違えただけです。
なんて言われても信じられない。
「保証は..ないです。」
そう。
保証なんてない。
全く思いつかない..。

