夢見ていた世界


驚く私をよそに、痛くて苦しかった原因の崩れてしまっていた着物の帯を、背後にいた男はするすると解いた。

「ちょっと待って!なにするのよ!!」

「なにって、痛かったんだろ?」

「そ、そうだけどもっ!」

なんてやつ!
痛かったって言ったって、女性の着物の帯を無断で解くやつがいるか!
悪代官様もお金払ってからするわ!

「海に落ちたお前が苦しんでたから、胸を圧迫してた襟元もゆるめてやったんだぜ?」

え、海に落ちたってなに..。
...あー、だから苦しかったのか!
塩水飲んじゃってたせいで口から水もでてきたし!

「助けてくれたんですね..?それなのに私てっき..り..」

ん?待てよ。
確か私さっきまで成人式の会場にいたはずなんだけど。

「てか襟元もゆるめてやったってなに。」

今の状況を一つ一つ理解してみよう。

ここはどこ。
地べたの上。

私は誰。
美咲 華。

なにしてるの。
その問いに、自分の姿をよく見てみた。

びしょびしょの着物を着ていて、胸元の襟は思いっきり開かれていて胸の谷間が見えている状態。

そして先程解かれた帯は、申し訳程度に私のお腹にゆるく巻かれていた。

「..う..そでしょ..」

そう呟くと、背後にいた男は私の目の前にまた戻ってきた。

「なにが。」

そして私の俯いた顔を覗くようにしゃがむ。

「なにがって。...っ!」