''め..。...ろ。''

なに?

''..あけ..。...きろ。''

聞こえないよ。
ねぇ、なんて言ってるの?

''いま..ふく..!..しっかり..!''

いま?ふく?しっかりってなに?

(ねぇお願い助けて、苦しいの..。)

そんな私の訴えとは裏腹に、四方八方から聞こえていた声が段々と明確に聞こえてくるようになった。

''他に生存者および不審なものはないかくまなく探せ!''
''はっ!!''

不審者?
なにか問題でもおきたのかな..

''民の避難を急げ!怪我人を優先しろ!動けるものは兵を手伝え!''
''はっ!!''
''はい!''

え、なに、どういうこと?
民ってなに..怪我人?兵..?
あ、ダメだ..苦しい..。

''おい、医者はまだか!''
''も、申し訳ございません!馬車を引く馬が暴れたとのことでっ..''
''ちっ..こんなときに。俺の兵を2人迎えに行かせろ!この町の医者は年寄りだ、無理のないように連れてこい!''
''はっ!!''

もう..意識が..。

四方八方からの声もまた遠のいていくなか、耳元で力強い声がしっかりと聞こえてきた。

「少しだけ我慢しろ。今助けてやるからな。」

その声とともに、一気に身体中が開放感にあふれた。