「呉、家どこ?」
「駅のほうのマンション」
「同じ方向だからおくってやるよ」
「なあ、呉お前さ、凛人のこと好きだろ?」
「なんで?」
「凛人のこと見てる目にそうやって書いてある」
「凪響くん、怖いね」
「凛人はやめとけ。傷つくぞ、あの子がいる」
「わかってる。けどね、片想いって意外にしぶとくてさー」
そう言って俺を見たあいつは今にも泣きそうな顔をして笑った。
「悪い、こんなこと言って」
「ううん、大丈夫だよ。凪響くんは女嫌いだよね~なんで?」
「さあな」
「私はいいの?」
「凛人とつるんでるからしゃーない」
「ふーん。好きな子はいるの?」
「さあな」
「いるんだぁ」
「勝手に思っとけ」
「つめたいなぁ。あ、家ここだからありがとう!またね」
「じゃーな、早く家は入れよ」
と急かされて家に入った後に少し窓から覗いてみる。
「なんで優しくするのよ…」
凪響は、来た道をただ戻っていた。