「1回、合わせようぜ」
ある程度練習したところで、3人に声をかける。
俺のギターから始まるこの曲は、
きっと俺の中での最高傑作だと思う。
この曲を作るのには2日にしかかからなかった。
いつも苦戦する作曲も
この曲ではスムーズに進んだ。
なぜだか分からない。
でもきっと、目的があるからだ。
悠香に聞かせたい、という目的が。
俺は歌いながらそんなことを考えていた。
最近、よく思うんだ。
悠香を見てから、俺は変わった。
身にまとっていた鎧が少しだけ軽くなった。
俺の周りあった、たくさんのトゲが少しだけ少なくなった。
自分で自分の変化が分かるほど、
俺は変わっていた。


