「ナイスアイディア!!」

と、弘斗。


「いいじゃん、それ」

と、俊。



「え…でも、なんで俺?」


今まで俺がメインで歌ったことは1度もなかった。

それにこのバンドの人気理由は、雅輝が歌うからなんだ。


俺が初めて惚れた歌声の持ち主が雅輝。

聞いてるだけで癒されるんだ。


そんな雅輝が歌うから、Black knifeの人気は結構なものなんだ。

それなのに俺が歌っちゃダメだろ。



「俺、雅輝の声も好きだけど
大樹の声も好きだぜ?

なんか、胸に沁(シ)みてくる。
この曲、お前の声とピッタリだし。

なんか切なさがよけいに滲み出てた。」

そう言う俊の横で弘斗も頷いている。



「だから、お前に歌ってほしい。

俺、サブでギター弾くし。」

雅輝が最後にな?と、言う。

一応、雅輝もギターが弾けるんだ。


「でもさ………」

と、俺が口を開くと



「大樹はウジウジし過ぎなんだよ!!

はい、もう決定!
初恋は大樹が歌う!!


じゃあ練習再開な!」

まだボケっとしてる俺を置いて3人は立ち上がる。


でも、もし悠香に聞かせるなら俺が歌ってたほうがいいよな?

よし、決めた。

初恋は、俺が歌う。