「でも、今のお前を1人にはできない。」
ダメな気がするんだ。
このまま、村瀬を1人にするなんて。
『なんなの、あんた。
木村に…あたしの何が分かるの??』
そのまま村瀬はしゃがみ込んでしまった。
俺はそんな村瀬を立ち上がらせ、店を出た。
そして近くの公園に連れて行く。
『あんたに話したところで何も変わらないけど…でも聞いてよ。
あたしの妹が入院してんの、あの病院に。
でね、末期の癌で治るかもって言われた。
なのに今日お見舞い行ったら言われちゃったんだ。
「もう、全力を尽くしましたが治る見込みは非常に少なく…」
って。
あたし、言いたいことあるならはっきり言ってほしいタチだから
「それはもう、妹は生きられないってことですか?」
って聞いたんだ。
お母さんとかあたしの言葉に目を丸くしてた。
でもお医者さんは平然な顔して
「………そうですね」
とか、言っちゃって。
お母さん泣き出してさ、あたしがしっかりしなきゃな。
そう思った。
だから、平気なフリして
「妹は、あとどれくらい生きられるんですか?」
って聞いた。
「余命は……2年です。
2年もてばいいほうです。」
だって。
妹、あと2年しか生きられないんだって。
ショックで
ショック過ぎて
涙も出なかった。
なのにあんたがそういうこと聞くから、泣けて来ちゃったじゃんか。』
そのまま黙り込んだ村瀬は地面に涙の跡をつける。


