俺の支えはこれだった。
『ばあちゃんの手紙』
月に1度、食べ物と手紙が送られてくる。
いつもばあちゃんは母さんの代わりに
『ごめん』
と、言ってくれる。
ばあちゃんは何も悪くないのに…
謝らなくちゃいけないのは母さんのほうなのに…
最後の言葉、
『おばあちゃんは遠くから大樹を応援していますよ。』
これに俺は支えられてきた。
ばあちゃんの家は山奥にある。
ここから電車で2時間くらい。
今年のお盆はいろいろあってばあちゃんの家に行けなかった。
「兄ちゃん、これ読んで!!
僕、まだこの漢字習ってないよ!」
春樹が俺に手紙を差し出す。
俺はそれを受け取り
「サッカー頑張ってくださいね、だって」
と、読み上げる。
春樹を俺から嬉しそうに手紙をもらい、鼻歌交じりに自分の部屋へ行ってしまった。
「智樹?どうした??」
ばあちゃんの手紙を握りしめ、動かない智樹に話かける。
「ううん、なんでもない。
俺、ギター頑張る。
それでいつか弾けるようになったら、ばあちゃんに聞かせるんだ。」
そう力強く俺に宣言した智樹。
ばあちゃんの手紙に何が書いてあったのか気になったが、
あえて触れなかった。
頑固者の智樹は教えてくれないだろうしな。


