「兄ちゃん、ただいま!!」
智樹にギターを教えていると泥んこになった春樹が帰ってきた。
こんな姿、久しぶりに見た気がする。
「はい、新聞と手紙」
春樹がポストから取ってきたのを俺に渡す。
新聞が1紙。
これは俺が読む新聞。
母さんは新聞なんて読まないから。
あとは郵便物のお知らせ。
あ、ばあちゃんから野菜が送られてくる。
送り主がばあちゃんの名前になっていた。
あとは携帯代の請求書。
ん?これはなんだ??
真っ白の便箋。
宛先の住所は書いてあるのに名前が『木村』しか書いてない。
誰だろ……
封を切ろうとした瞬間、
【ピンポーン】
と、インターフォンが鳴った。
俺はその手紙をテーブルの上に置く。
そのまま玄関に向かった。
『お届け物でーす。
サインお願いしまーす』
インターフォンを鳴らしたのは宅配の人だった。
「智樹、春樹!!
ばあちゃんからなんか送られてきたぞ!」
俺は2人の前でダンボールを開けた。
ダンボールの中身は野菜やらお菓子やら…
「あ、手紙だ。
これ春樹の。で、こっちは智樹の」
ばあちゃんから3通手紙が入っていた。
俺は自分の手紙を手にとる。


