悠香の病室に近づくにつれて
速い鼓動がもっと速くなる。
こういうとき、自分の頭がイヤになる。
一般的に頭がいいと言われる俺。
心では理解できないのに
頭は勝手に理解している。
だから
汗が止まらなくて
腕が足が震えて
鼓動が速くなって…
涙が溢れそうになる
いつものようにドアをノックする
いつもなら、村瀬の声がするはずなのに
それなのに中から村瀬の声が聞こえてこない。
不安が募る
もう爆発しそうだった
不安が積み重なりすぎて爆発しそうだった
震える手でドアを開ける
「…………大樹」
中には弘斗と村瀬と
………………………悠香
でも、悠香の顔には白い布がかけられていた。
それがどういうことか。
この歳にもなれば分かってしまう


