『あれ?弘斗くんに大樹くん…??』
病院へ行くとたまたま長瀬さんに出逢う。
『あなたたち…学校サボったの?』
と、言う長瀬さんだけど至って表情は穏やかで。
どうやら怒る気はないらしい。
「コイツ、ユウちゃんの話聞いたら急に方向転換して…
まったく、困ったもんですよ」
弘斗はニヤッと笑いながら横目で俺を見る。
弘斗の言っていることはあながち間違っていない。
と、言うより当たっている。
だから俺は何も言わず黙って俯いた。
『そんなこと言って弘斗くんだってユウちゃんの顔が見たかったクセに』
長瀬さんはそんなことを言いながら先を歩く。
弘斗はアハハと笑って誤魔化そうとする。
って、お前も来たかったのかよ
だったら申し訳ないとか俺、責任感じなくてよかったじゃねぇか…
なんて考えながら長瀬さんのあとに続いて悠香の病室に入る。
『悠香ちゃん…吐血しちゃって。
話はかろうじてできるけど
食欲はまったくなし。
見てるこっちが辛いくらいだよ…』
複雑な表情で長瀬さんは病室の扉を開ける。


