普段、優柔不断な俺がここまですんなりと志望校を決めたのは奇跡に近い。


すんなり…と、言ってもただ3人と一緒に音楽がやりたい一心で決めただけだけど。




『木村、おかえり~

やっぱ、進路のことだった??』


教室に戻るとまだ村瀬と弘斗がいて。



「あぁ…早く進路決めろって言われた」


俺はわざと大きな溜め息をもらす。



「大樹…お前、大学行くんだろ?

頭いいもんなぁ…」


弘斗は決めてかかり、落ち込んだような顔をする。


そんな顔を見ていると自然に笑いがこみ上げてきて。

俺は俯く。



「俺…決めたんだ。」




『どこ行くの…??』


村瀬は弘斗の進学先を知っているせいか心配そうな声で聞いてくる。


なんとか笑い声だけは堪えて、
そしてニヤけそうな顔を必死で真剣な表情にして。


俺は顔を上げた。



そして不安そうな2人の目を見つめて




「俺…音楽の専門学校へ行く」