『ユウ…あんな嬉しそうな顔して…


あたしが来たって
弘斗が来たって
あんな顔しないのに…


あー!なんか木村、ムカつく!!』


俺はギロッと2人に睨まれて。


どうして俺…睨まれてるんだ?



「大樹さ…その顔ズルイよな。

俺が女だったら落ちるもん」


弘斗は急にそんなことを言い出して。


なんなんだよ…この2人




「じゃ、また来るわ。

ユウちゃんによろしく言っておいて」


俺は弘斗と一緒に病室を出た。



「なぁ…弘斗。

俺、これから毎日悠香に逢いに行くわ」


病院の廊下を歩きながら弘斗に言うと



「そうしろ。

ユウちゃん、きっと喜ぶよ」


そう笑いながら言ってくれて。


悠香…俺、これから毎日行くからな。

待ってろよ?



今思うとこのときの俺は浮かれすぎていた。


浮かれすぎて、忘れていたんだ。


村瀬の妹…悠香が




末期の癌で



余命…2年…





と言うことを…