「ただいまぁ~!!
って、ちょーいい匂い!!」
ドタドタと廊下を走る足音が聞こえてリビングの扉が勢いよく開いた。
「おい、大樹!
今日の晩飯カレーだろ?!」
「うるさいな、お前は。
そうだけど、なんか文句あるか?」
弘斗は少し上目遣いで俺を見る。
はぁ~と溜め息をついた俺は
「メシ、食ってく??」
と、言った。
「食う、食う!!」
「「兄ちゃん、お腹空いた!」」
そこへ違うトーンでハモる声が聞こえた。
春樹と智樹だ。
「もうちょっとだからな。
あ、そうだ。
春樹、風呂のスイッチ押して。
智樹、新聞取ってきて。
弘斗、俺の手伝いしろ。」
弘斗は不満そうな顔をしているが俺は知らないフリ。
「なぁ、大樹。
お前、お母さんは??」
リビングの奥にある母さんの部屋の扉を見つめる弘斗。


