「ごめん…大樹。
一発だけ殴らせて」
そう言うと弘斗は堅く握った拳を頬にぶつけてきた。
それは予想外に痛くて、
踏ん張ることができず、膝から崩れ落ちた。
げぇ…口の中、血の味がすんだけど。
「……なにすんだよ」
まだ痛みがある頬に手を当てて立ち上がる。
「悪ぃ…でもどうしても殴らないと気が済まなかった。」
「意味分かんねぇんだよ…ちゃんと説明しろ」
今度は俺が弘斗に掴みかかるところだった。
でも、やめておいた。
ここで俺が同じことをしても無意味な気がしたから。
「香織は…お前のことが好きなんだよ!!」
『……………弘斗っ!』
村瀬が俺のこと好き…?
なんだよ、それ…
どういう意味だ…??


