花見日和とでも言うのか、当日は天候に恵まれて、気温も暖かかった。



午前9時集合だと言われたその場所に着くと、15分前にも関わらず騒ぎ声が響いていた。



「詩苑ちゃん!」



近づいていくと、蓮也さんが手を挙げてあたしの名前を呼ぶ。



いつものスーツからは想像もつかなかった蓮也さんのラフな私服。



新鮮なその姿に、心臓が高鳴ってしまう。



「着てくれたんだ?」



「も、もちろん」



蓮也さんはあたしの格好を見るなり、その顔をほころばせた。



真っ白のワンピースを選んでくれた蓮也さん。



今日は、その上に春らしい黄色のカーディガンを羽織った。



「似合ってるね」



「やめてください蓮也さん」