社内恋愛発令中【完】

どうしても距離の近さに緊張してしまう。



「どうしたの詩苑ちゃん」



気づいているのかいないのか、蓮也さんは真顔であたしを見てきた。



「ち、ちち、近い、です…」



蓮也さんの顔を見れずに答えるあたしに、蓮也さんはプッと吹き出す。



「詩苑ちゃんって、ほんと面白い」



「や、やっぱりからかってる…!」



「ほら、ちゃんと見て。このワンピースはどう?」



あたしの意見なんて聞いてないという風に、蓮也さんが肩を抱く手に力を込めてワンピースを見せてくる。



「そ、そそそ、それ買います!」



判断力さえなくなってしまったあたしは、ろくに見ずに蓮也さんの持つ服を手に取りレジへ。



背中で蓮也さんの喉を鳴らして笑う声が聞こえる。