社内恋愛発令中【完】

「でも部長狙ってる人の中に桜瀬さんがいるって、厄介だよねえ」



そう遥さんが意味深な言葉を発するから、あたしは持ち上げたお箸をそのままに問うた。



「人の中にって…そんなに狙ってる人いるの?」



あたしの質問に、遥さんはポカンとした顔を向けた。



「詩苑ちゃん知らないの?部署の女の人、ほぼ部長狙いだよ」



「そ、そんな?」



「部長と係長の人気がすごくて、2人にアピールしてる人もいるくらいだし」



自分の知らないところで、激しい戦いが起こっていたとは…恐るべしOL。



「詩苑ちゃんって、ほんとそういうとこ鈍感だよね」



お箸であたしを指す遥さんは、ふっと鼻で笑うとお弁当を食べ始めた。



「別にそんなこと知らなくても困らないし…」



と、言いながら自分の情報量の少なさに落胆してるのも事実。



溜め息が漏れる度にご飯が進むのは、やけ食いに似た何かだろうか。