「蒼井さんだって、いつも急なくせに」



「上司に口答えしない」



「ずるい!こういうときだけ!」



些細な会話って、こんなにも幸せなことだった。



目を合わせるって、こんなに胸が高鳴ることだった。



笑い合えるって、手を繋げるって、同じ空間を感じられるって、こんなに輝いたものだった。



「こういう関係になった以上、会社でも覚悟しておくように」



「え…?」



「まさか、2人きりの空間が多いのに、何もないわけないだろ?」



波がザパンと音を立てて夜を震わせる。



「…え、え、えぇぇえ!!!」



あたしの叫び声は、そんな波も震わせ響いた。