社内恋愛発令中【完】

走る車の中から見えたのは、夕陽を反射して輝く海だった。



キラキラと宝石が散らばったような、海面の輝きが幻想的で。



「穴場あるから」



蒼井さんはそう言うと、入り組んだ道に入り、やがて車を止めた。



そこは人影もなく、静かな空間に波のさざめきだけが響いている。



車を降りると、風が髪を持ち上げた。



潮の香りが鼻をくすぐる。



「双葉こっち」



蒼井さんがあたしを手招きし、浜辺へと誘う。



「おいで」



いつもより優しい声音と表情。



近づくと、蒼井さんが静かにあたしの手を握った。