社内恋愛発令中【完】

「今日の夕陽にぴったりな場所がある」



蒼井さんの横顔も、心なしか明るい。



少し期待してもいいのだろうか。



蒼井さんはあたしと一緒にいたいと思ってくれていると。



せめて思うだけなら、きっと罰は当たらない。



思うだけなら、誰にも迷惑はかからない。



目を閉じて、蒼井さんが隣にいることを感じる。



窓から流れ込む風が、複雑な思いを拭い去ってくれるようだ。



「すぐ着く」



蒼井さんがそう言ったとき、微かに潮の匂いが漂った。



この匂いを、あたしは小さなときから知っている。



「…海!」