社内恋愛発令中【完】

ある程度回り、さすがに足も疲れてきたのか、蒼井さんが言う。



帰るという言葉に、一瞬寂しくなるが、いつまでもここにいるわけにもいかない。



「帰りましょっか」



寂しさをかき消すように、あたしは蒼井さんに笑いかけた。



駐車場まで歩くこの時間が、あたしにとって大切にしていたい時間だ。



車に乗ってしまえば、この手も離れるし、あたしは家に向かわなければならない。



また寂しい独り暮らしの始まりだ。



「シートベルトは?」



乗り込むと、蒼井さんがあたしを見る。



「しました!」



「じゃぁ発進」



敬礼をしておどけて見せると、蒼井さんも人差し指を前方に差して発進の合図。



それがおかしくて笑うと、蒼井さんもプッと吹き出した。