「れ、0.04ってよく分からない…」



現実味がない、と桜瀬さんは苦笑い。



「眼鏡なしだと、この距離で桜瀬さんの顔見えてません!」



「えぇ!!」



目の前に両手を持っていき、見えないポーズをすると、桜瀬さんは驚いたような声をあげた。



「大変だね、双葉さん…」



「小学生の頃からだから、もう慣れました!」



資料をまとめながら笑うと、桜瀬さんは持っているファイルを遠ざけながら「こんくらいかあ…」と、見えない人の気持ちを感じている。



「桜瀬さんは、目いいんですか?」



「わたし両目とも2.0なの!」



「に、2.0!?」



ビックリして資料を落としてしまうあたしを見て、桜瀬さんはお腹を抱えて笑った。