「ほんと悪かったって…」



「…気にして、ない、です…」



「…」



涙を浮かべるあたしを、蒼井さんが困った顔で見つめてくる。



そんな蒼井さんの目から逃れるように、あたしはそっぽを向いた。



何故こうなったのかは、10分ほど前に遡る。



気持ちよかった、とお風呂から出て、脱衣所で体を拭いていると、何やら足音が近づいてきた。



蒼井さんだということは、考えなくても分かる。



トイレには、脱衣所を通らなければ行けないようになっている蒼井さんの家だ。



トイレに向かっているのだろうことも察しがつく。



だがまさか、人がいるのにも関わらず扉を開けてしまうなんて、予想だにしなかった。



扉を開けた蒼井さんと、丸裸のあたしが固まる。